3ヶ月間に渡り、左の前足にできたしこりを気にしながらも、元気に生活していたうさぎちゃんが、先月当院にご来院されました。
しこりはどんどん大きくなり、その大きさは体重の約15%にまで達していました。巨大化したしこりは何度も自壊して出血し、気にして舐めて、カサブタになって、の繰り返し。足先は地面に着けずに、ブラブラとしていました。それでも元気食欲は問題ないとのこと。手術はできないと言われているので経過観察してきたが見るに耐えなくなってきたと、相談に来て下さったご家族。
診察台に乗せたうさぎちゃんを一目見て、胸を痛めました。Quality of Life(生活の質)は明らかに低下していると判断しました。彼は明らかに訴えていました。
「痛いし重いし、毛繕いもできないんだけど。思い通りにも歩けない。時々潰れて血が出ると舐めても舐めても汁が出てくる。僕の足はどうなっちゃったの?これ、なぁに?」
「手術してあげたいですね。このままじゃ可哀想です。」
即、ご家族に勧める自分がいました。
うさぎさんの断脚手術。決して良い響きのしない手術ですが、飼い主さんは決断して下さいました。痛いなんて思っていなかった、辛そうには見えなかった、やってあげられないと思っていた、痛いなら、是非やってあげたい。可能性にかけたいと、決心して下さいました。
9歳の高齢のうさぎさん。確かに、手術をお勧めする年齢ではない。
しかも、おそらく近い将来切断部から再発するであろう悪性腫瘍、リスクもあるし予後もわからない。
それでも、飼い主さんは、それらをご納得の上、数日後、決断を下し、我々に託して下さいました。
手術は無事終了。
終了30分後にはごはんを食べてくれる彼の回復ぶりに、
先ずは一安心&感謝。
その後、経過を診せにご来院。経過良好!3本足で元気に過ごしています。
病理結果はやはり悪性腫瘍でしたが、まだ再発はありません。
「ちょっとバランス取るのにコツがいるけど、スッキリしたよ。
さんきゅ、せんせ。」
うさぎちゃん、そんな風に言ってくれた気がしました。
この仕事をしていて一番嬉しい瞬間です。(妄想で喜んでる!?)
決断して下さったご家族に感謝。
そして、何よりも、手術を乗り越えてくれた本人に感謝。
元気に、まだまだ長生きしてね。
今日、職場(学校)で飼っているうさぎさんが、骨折のため、脚を取りました。想像以上に折れていて、取るしかなかったそうです。ショックで、手術したのは間違えだったのか、落ち込んでいるときに、この記事を読み、とても勇気が出ました!!地域や保護者、子どもたちと、精一杯のケアをしてあげたいです!
コメントありがとうございます。
きっとそのうさぎさんは3本足でも逞しく生きてくれます。そして身をもって子供達に素晴らしい学びを提供してくれますね。いっぱいいっぱい可愛がってあげて下さい。職員の皆様の勇気あるご決断、決して間違ってはいません!!
このうさちゃんはその後どうですか?
私も今10歳の後ろ足に大きな悪性腫瘍をもっていて断脚をすすめられているうさぎの飼い主です。
西山様
ブログのうさぎちゃんはその後元気に暮らして経過良好でした。
1年ほどして、天寿を全うし、ご家族が帰宅されたら亡くなっていたとのご報告を受けました。
手術をしたことで、痛みから解放されて、その後の人生を幸せに暮らせたと、言って下さいました。
やってあげられて、本当に良かったと思える瞬間でもありました。
でも、必ずいい結果がついてくるとは限りません。
ご家族にとって、手術を決断することも勇気のいることですが、しないと決断することも、同じくらい勇気のいることだと思います。
正解なんてありません。ご家族が納得して決断したことに対して、後悔しないであげることが、うさぎちゃんにとっての正解だと思います。
悪性腫瘍を患った脚と共存する事はとても痛くて辛いことではあります。
手術には費用と体力と、リスクも伴います。
うさぎちゃんの状態やご家族の希望、不安、疑問などを、かかりつけの先生とよく話し合って、ご納得のいく決断をされることを願っています。