どうもはじめにゃして。
調布市内の動物病院で居候をしつつ、里親を求めていたオレは、夜の勉強会とやらでやって来てオレのケージの前に現れた背のちっこい女の先生に、気に入られた。
で、オレは、この女先生の病院に連れて来られた。選んでる余地も権限もなく、いわゆる運命に身を任せた。
車に乗るのは怖かった。ちびったし、大声で叫んでみた。「声高いね〜、可愛い〜」と笑われた。冗談じゃない。オレは必死だった。
でも、悪くないかもしれない。
メシは出るし、大好きな猫じゃらしで遊んでくれる。お気に入りのぬいぐるみも前の居候先から一緒に連れて来てくれた。
よくわかんないがやたらと撫でてくれる。抱かれるのは苦手だがやたらと抱きたがる。オレはそんなにハンサムか?
コンプレックスの前歯を見られた。笑われた。「すきっ歯だ〜!」
やっぱり、冗談じゃない。プライドはズタズタだ。
でも、ありかもしれない。
ここがオレの新居。受け入れるしかない。
因みに、ネリちゃんと呼ばれていたオレは、勝手に改名までされた。
最初に小さな女の子にりぼんちゃんと命名され、翌日に看護師の女の子にくまちゃんと改名された。
女はみんな勝手だ。
名前なんてどうでもいい。今日もトイレを荒らしてタオルにおしっこをしてみた。快適だぜ。
こんなオレに興味を持ってくれた人は是非、会いに来て欲しい。ほほえみの2階でまだ少し、ビビってるオレに会える。