また、会えた。

オレの保護者。優しい、大好きなオレの彼女。

久しぶりだ。オレに連絡もなしに突然、会いに来た。

ハロウィンだからと言って、カゴいっぱいのプレゼントを持って。

イベントなんてよくわからない。そんなのはどうでもいい。

カゴの中をいじくり回して喜んでる先生も、どうでもいい。

と言うか、それ、全部オレのだぞ。それ、返せよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく、会いに来てくれて、オレはすこぶる嬉しかった。

昔のオレに戻れる時間。若気の至り。不祥事。いざこざ。みんな青春時代の甘い思い出だ。

野良生活のオレを支えてくれて、オレを助けてくれた恩人との再会。至福の時間だ。

オレを忘れないでくれている。好物もお気に入りもよく知っている。

ねこじゃらし、ちゅーる詰め合わせ、ささみ、ねこのぬいぐるみ・・・。

みんなみんな、大好きだ。だから彼女も大好きだ。

さかなのぬいぐるみは、相当気に入ったのか、先生がやたらとはしゃいでいじっている。

いいから早く返せ。オレのだ。

 

でも、今日のオレは、気分がいいぜ。心が広くなる気がした。オレ、優しい男だから。

先生は、彼女に、是非手ぶらでまた会いに来てやってください、と伝えてた。

だからオレに持って来たんだって言ってんだろ。先生にはやらん。

でも、人間様の食い物ももらったらしい。看護師と一緒になって、美味しい!と感動しながらなんか食ってる。

彼女、なんて気が利く女だ。オレのちゅーるを食われないようにと、ちゃんと人間用まで持ってくるなんて。おかげでささみもちゅーるも食われずに済んだ。

オレは、本当に、幸せ者だ。