ダックスのマロちゃんは、15歳の誕生日を2週間後に控え、静かに、旅立ちました。
死因は、ガンです。
初めて出会ってから、5カ月に渡って、長い闘病生活を戦ったマロちゃん。
もともと、首に腫瘍を抱えて来院してきたマロちゃん。
小さなしこりを半年前に見つけて、ずっと病院さんに行かれていたとのこと。
リンパ腫ではないからと、経過観察を続けられていたとのこと。
大きくなっていくにつれ、ご心配が募り、当院へ。
来た時はまだ元気も食欲もあって、少し太りすぎの体系だった、愛嬌満点の男の子。
でも、腫瘍は、悪性でした。
破裂してしまい、手術はしたものの、取り切れないほど大きくなってしまっていた扁平上皮癌。
長くない余命を伝える辛さ。
お別れを覚悟しつつ、あれから5か月間、どんどん起こるあらゆる症状に、最善を尽くし続けた飼い主様。
仕事の間、一人にしておくのが心配だからと、晩年は毎日、当院でお預かりをしていました。
朝一番でマロちゃんとご来院、夕方仕事終わりにお迎えに来る日々でした。
院内を、おもちゃみたいにテクテク歩き回る姿は、スタッフみんなの癒しでした。
昼休みになると、くまがいつもそばを離れず見守ってくれていました。
吐き気と戦い続けた日々。熱心に通院を続け、奇跡の復活を何度も遂げたマロちゃん。
最期の日は、本当に、静かに、ご自宅で、訪れました。
あの日も、生存確認をしながら、虫の息のマロちゃんを、院内でお預かりしていました。
すっかり削痩してしまったからだで、静かにスヤスヤと眠るマロちゃん。
もう、院内を歩き回ってくれる元気はありませんでした。食べることも出来なくなりました。
抱き上げて、しっかり抱きしめて、えらいね、がんばってるね、強いねって、伝えました。
翌朝、一人で待合室に入ってきた飼い主様。目が合っただけで、お互い、涙が止まらなくなりました。
おつかれ、マロちゃん。本当に、えらかったね、よく頑張ったね、強かったね。
今日は、マロちゃんの最初の月命日。
お空も泣いてるような雨の中、久しぶりに、いつもの時間に、また、一人で待合室に入ってきた飼い主様。
目が合っただけで、また、2人で涙が出ました。
マロちゃんの写真などを持って挨拶に来て下さった飼い主様。
何よりも、救われるお言葉、
「ほほえみ動物病院で、良かったです」
「寂しいけれど、不思議と、悲しい、辛い、ではなくて、穏やかな気持ち、やり切った気持ちです」
泣きながらも笑顔を見せてそう話して下さる飼い主様に、マロちゃんも、我々も、救われます。
治療、延命、安楽死、経過観察、生活の質(QOL)、現状維持、強制給餌、手術、抗がん剤、サプリメント・・・
何が正しくて何が間違っていて、何が第一選択で、何が延命で何がQOLを向上できて、何が効いててなんて、
答えは、ありません。
その子の状態、状況、ご家族の希望、環境、様々な要素で選んでいく、見つけていく、組み合わせていく、それが我々の役目だと思います。
マロちゃんを診させて頂き、改めてそのことを学びました。
今までの患者さんとそのご家族の全てが、教訓、学び、経験として、自分を成長させてくれます。
無駄な命など、あり得ません。
マロちゃん、ありがとう。
そして、飼い主様、たくさんの感謝の気持ち、本当にありがとうぎざいます。