こんにちは、看護師の西です。

肝臓に引き続き、今回は心臓についてのセミナーを開いて頂きました。

 

心臓は全身に血液を送るポンプとしての役割があり、酸素と栄養が血液によって全身へ届けられています。

そんな重要な仕事をしている心臓は生きていく上で欠かせないものであり、一生動き続けなければならない臓器です。

心臓の『ドックン』という音、なんの音かはご存知でしょうか。

実はあの音は、心臓にある弁が開いたり閉じたりする音なんです。

心臓は筋肉でできており、筋肉の収縮と弁の開閉のリズムが合わさることで心臓に繋がる太い血管へと流れていきます。

その為、心臓の筋肉・弁・リズム・血管のうちひとつでも欠けたら(悪くなったり、うまく機能しなくなったら)心臓病ということになります。

 

過去のデータでは、全ての犬の10〜15%、10歳以上だと30%以上が心臓病だと言われており、犬の死因の第2位ともなっているとても多い病気です。

また、先天的心臓病(生まれつき心臓病である子)に比べ後天的心臓病(歳をとってから心臓病になった子)の方が圧倒的に多く、95%が後天的心臓病だそうです。

 

ここでは、代表的な心臓疾患を2つご紹介します。

小型犬・中型犬に最も多い心臓病は僧帽弁閉鎖不全症という疾患です。

左心室と左心房の間にある弁を僧帽弁と言い、ここには肺から送られて来た血液が流れてくるので酸素を多く含んだ血液です。

僧帽弁閉鎖不全症は、逆流を防ぐ為の僧帽弁が正常に機能できなくなった状態をいいます。

その為、血液が逆流したり全身に血液を送りにくくなります。

原因としては遺伝や高齢、細菌感染などが挙げられ、歯肉炎から発展するケースもあるそうです。

 

大型犬に多い心臓病では拡張型心筋症というものがあります。

原因は不明である事が多く、心臓の筋肉が伸びてしまい心臓の収縮力が低下してしまう疾患です。

収縮力が低下してしまう事で血液の送り出しが上手にできなくなってしまいます。

メスよりもオスに多くみられる疾患です。

 

では、心臓が病気になると具体的にどのような症状がでるのでしょうか?

まず、心臓や心臓周りの血管が細くなるため、筋肉などに十分な血液が行き渡らなくなってしまいます。

その為、身体には疲労や呼吸困難、食欲不振、体重の変化といった症状が現れます。

またそれと同時に、腎臓では身体の変化を察知し、レニンという酵素を放出します。

このレニンには2つの作用があり、1つは血管の収縮です。

そのため、心臓病で細くなった血管はさらに細くなってしまいます。

2つ目の作用は塩分(ナトリウム)を貯留です。

体内の塩分濃度が濃くなると水分も一緒に溜め込むことになります。

細い血管に大量の水を流すことはできません。

結果、血管から漏れ出た水分はむくみや腹水、肺水となり、最悪の場合亡くなってしまうことになります。

 

心臓は全身に影響を与える臓器です。

その為、心臓病の悪化要因(肥満や呼吸器疾患)も様々ですし、心臓病になった時の症状も全身に関わるものになります。

心臓病はなるべく早く見つけてあげることで進行を遅らせることができます。

早期発見には小さな変化を見逃さない、健康診断を受けるなどをすることがおすすめです。

また、健康であまり病院に来る機会のないわんちゃん猫ちゃんでも、ワクチンや春の予防の時期に注射前・採血前の聴診で気付くこともあります。

何かご心配なことやご不安なことがございましたら、お気軽にご相談ください。