こんにちは、看護師の西です。
先日院内で肝臓についてのセミナーを開いて頂きました。
皆さんは肝臓のことを「沈黙の臓器」と言われていることはご存知ですか?
一度は耳にしたことがある方もいれば、初めて聞いた方もいるかもしれません。
「沈黙の臓器」とはその名の通り、疾患や何らかのダメージを受けても症状が出にくく、気付いた時には病気がかなり進行している事が多い事を指しています。
今回は、肝臓の働きや肝臓病についてなどを書いていこうと思います。
まずは肝臓の働きについてです。
肝臓と聞くと、まず最初にお酒を思い出す・・・という方が多いと思います。
そうなんです、その通りなんです!
ですが、肝臓の働きはそれだけではありません。
肝臓は心臓から送られてくる酸素の多い肝動脈と、消化管・脾臓・膵臓から送られてくる栄養素の多い門脈の2つの血管から血液が流れてきます。
そしてその流れてきた血液から3つの仕事を行なっています。
⓵作る・・・タンパク質、胆汁、尿素などを生成
⓶貯める・・・ビタミン、ミネラル、グリコーゲンなどを貯蔵
⓷壊す・・・有害物質を分解
これらの働きを肝臓全体で協力して行なっている訳ではなく、肝細胞の1つ1つが行なっています。
また肝臓の働きは現在まだ全て分かっておらず、その働きの多さから人工で腎臓の代わりとなるものを作り出すのは不可能と言われています。
そんなすごい肝臓ですが、実は仲間想いでとっても頑張り屋さんなんです!!
例えば、肝細胞の一割が何らかの原因で仕事ができなくなったとします。
そうすると、他の肝細胞がその分たくさん仕事をしてくれる為、体には何の影響も出てきません。
また、再生能力がとても高いため、すぐに仕事を再開してくれる優秀な臓器なんです。
予備能力が高く再生能力が高いからこそ、症状に出てきにくい、まさに「沈黙の臓器」なんですね。
ですが、考えてみてください・・・
他の肝細胞の仕事を代わりにやるとしても、再生能力が高いにしてもやはり限界があります。
限界になり、SOSを出す頃にはもう・・・肝臓はボロボロなんです。
早期発見にはやはり、定期的な血液検査は必須になります。
初期のSOSサインとして肝酵素(ALP)というものが上昇します。
肝臓病は軽度のうちは無症状である事が多いですが、ある程度進行していくと元気や食欲がなくなったり下痢や嘔吐が続きます。
そして重度肝臓病になると、肝性脳症や腹水が貯まり始めます。
肝臓病になってしまったら、肝細胞の再生を促し、肝臓病の悪化を防ぐ事が重要となってきます。
薬物療法も大切ですが、同時に肝臓のことを考えた食事も大切になります。
また、肝臓の悪化状態により与えるべき栄養素、制限するべき栄養素が違ってきます。
軽度・・・高タンパク質で炭水化物を制限したご飯 or 低脂肪食
中度・・・高品質のタンパク質や食物繊維を取り入れ肝臓の再生を促し、銅を制限して銅中毒を防ぐ
重度・・・タンパク質とナトリウムの制限をし、合併症を抑える
といった風にステージにより様々です。
最後に、少しお肉がつき過ぎている猫ちゃんがご家族にいる方・・・
肝リピドーシス(脂肪肝)ってご存知ですか?
とても悪い言い方をすると、つまりフォアグラのことです。
肥満の子がなんらかの原因で食欲がなくなったりご飯が食べられないようになると、栄養を作ろうと体についた大量の脂肪が肝臓に回され蓄積することで起こります。
肝リピドーシスの最大の予防は太らせないことです。
体調が悪くなり、食欲低下がみられる前に、早めのダイエットをお勧めします。
肝臓は体のとても重要な働きをしている臓器の1つです。
どの臓器にも言えることですが、やはりご家族の健康を守りたいのであれば定期的に血液検査はするべきです。
また、肥満は万病の元でもある、と言われる通り、太り過ぎも病気の可能性を高めています。
最近太ってきた、元気がない気がする、どんなご飯をあげたら良いのかわからない・・・など、わからない事があればぜひ一度ご相談に来て頂ければと思います。