オレの口臭。
オレにはわからない。むしろ全く気にならない。
なのに、看護師も先生も、いつも臭いと言う。
じゃあ、いちいち鼻近づけて嗅がなきゃいいだろ?と思う。
臭いもの嗅ぎたさか?犬みたいにクンクンしやがって。
まじデリカシーない。
この前、知らない男が、謎のスプレーを持ってやって来た。
先生は、その男の話を信じて、そのスプレーを買った。
先生は、その男をジャパネット安田と呼んだ。
男を簡単に信じる女だ。単純な女だ。
先生は、そのスプレーを看護師に渡して、命令した。
「くまにやってみよう!」
またオレか。
オレは実験台か?
そのスプレーはなんだ?
オレのどこにかける気だ?
オレは逃げる間も無く、看護師に抱かれた。
まぁ、悪くない。
また、口の匂いを嗅いできた。
またか。オレの口臭がそんなに好きか?
次の瞬間、
口をめくられた。
おいっ!!口の中にスプレーか???
何する気だ!!!
やめてくれ!
お?
うまいかも。
ミルク味。
悪くないかも。
嫌がらないオレがいた。
もう一度、口の匂いを嗅いできた。
「臭いが消えたー!!」
喜ぶ看護師。
オレもなんだか嬉しいぜ。
オレの臭い嗅いで喜ぶなんて。
臭いと言われるよりよっぽど、男心としてはり嬉しい。
悪くない気分だ。
でも、続いて、
先生まで嗅いできた。
近っっ!
先生はいいよ。
「お〜っ!無臭だ!!」
だからなんだ。
クンクンし過ぎだ。しつこい。
しつこい女は嫌いだ。
オレは、看護師にだけ嗅がせたい。
先生は、頼むから、オレに近づくな。
だから、早く離れてくれ。