9月下旬の水曜日の夜、恒例の画像実習兼セミナーでした。

松岡先生と二人で埼玉までドライブするのも、今回が2回目です。

病院を離れての女子トークはちょっと楽しい気分になりますね。いやいや、獣医療についての熱いトーク、の間違いでした。

さて、今回は猫ちゃんの症例を連れての参加でした。

慢性腎臓病があり、定期的な血液検査をしたら偶然に見つかった異常。たんぱく濃度がとても高くなっていて、腫瘍を疑った症例です。

考えられる腫瘍をいくつか疑い、除外のため、レントゲン、超音波検査、尿検査をしました。異常は見つけられず、画像の専門医のご指導を求めて連れて行きました。もちろん飼主様の了承を得て。

早速最初に診て頂きました。と言っても自分で診ました。。。

「はい、じゃ、自分でやって。」

いつものように、現場監督としてご指導くださるT先生。

隅々まで一緒に診ましたが、やはり先生が疑っていた脾臓も含めて、異常所見は何も見つからずでした。

半分はほっとしつつ(見落としがなかったかの不安が消えます)、半分はもやもや・・・。(じゃあこの子の隠れた病気は何なの???)

最終手段、疑っていた骨髄関連の腫瘍を除外するため、翌日、麻酔をかけて骨髄穿刺による細胞診を実施しました。念のため画像上異常がなかったけど状況から疑わしい肝臓と脾臓も細胞診しました。

診断が出ました。

刺した3カ所全てから、形質細胞が検出されたのです。

「猫の骨髄関連疾患(随外性形質細胞腫)」の診断結果でした。

悪性の、腫瘍です。

そこそこ食べているし元気、高齢で腎臓病があるから体重は減ってきてはいるけど、他に症状はない、16歳の女の子。たまたま検査で引っかかり、診断を進めることを希望頂けたから、見つけられた腫瘍。

猫ちゃんは特に、症状が分かり辛いうえに特殊な動物、わんちゃんにはない病気もたくさん。診断がつきにくい動物。今回改めて診断に結び付ける難しさを再認識しました。

診断を付けたいという強いお気持ちが飼い主様にあったからこそ分かった病気。

「長生きすると癌になる」

ヒトにも、わんちゃん猫ちゃんにも、同じことが言われます。

「癌になるほど、長生きしてくれた」

そう捉えて、癌を恐れるではなく、前向きに、残りの時間を過ごせたらと、私はそう思っています。

(若くして癌を患ってしまう、そんな運命の動物も、たくさん経験しています。)